兄と妹
2015-11-05
長い飛行機の岐路でも、詮は比較的大人しくしていて助かっていた。
詮より私のほうが久しぶりの日本に緊張していて
気圧のせいか身体がだるくて辛いのは寧ろ私のほうかもしれなかった。
日本への帰国をボスに相談したところ
久しぶりの親子の再会なのだからとバカンスを前倒しにして休暇をとるようにと言ってくれた。
CMの評判も上々で社の利益に大分貢献してくれたとすこぶる機嫌が良いのだ。
私と詮の帰国の話を祖父が誰から聞いたのか、
決まるとすぐに祖父宅に泊まるようにと強く言われたが、
薪より事前に言われていた通り、彼のマンションに行くことになった。
長い空路を経て
成田に着くとあまりの人の多さに
驚いてしまう。
幼いころに日本を離れてから
普段周りから聴こえてくるアナウンスは
フランス語の世界だったのに、
いきなりここにきて
日本語の洪水のようで
いつの間に日本は私の感覚の中で
異国になっていたことにきづく。
「すごい、日本語ばっかり」
「まま」
と抱っこした詮が
きゅっとしがみついてくる。
私の不安が彼にも伝わって
しまったみたいで
はっとする。
詮、日本に着いたね。
と笑いかけ、柔らかな彼の髪を
優しく撫でた。
荷物を受け取りゲートを出ると、
「すみれ!」
と声をかけられる。
お兄ちゃん!
思わず声が上ずる。
スカイプでは兄と何度も話して顔もみてるのに、私は兄と離れてから
ほとんど会っていないのだ。恥ずかしながら、兄の顔もこんな顔だったっけ?と
思うほどだ。背も高く、しばらく見ないうちにすごくかっこよくなったと思う。
私たちを振り返ってみる人々の視線に気づいて、それは
兄を見ているのだということが分かった。
今回日本に帰国すると兄に話したところ、喜んで!
と空港まで迎えに来てくれた。
「この子が詮かい?」
と、ベビーカーに座った詮のまえに
腰を落として視線を合わせる。
はじめまして詮。
叔父さんだよ。
ようこそ、日本へ。
と笑いかけられて
詮はただびっくりした顔をして
見つめている。
さあ、車で迎えに来たんだ。
一緒に帰ろう。
そう言われるがままに
私たちは兄の車に乗って東京まで行くことになった。
するとその時、
「北屋敷先生・・・ですよね」と
ふと空港のロビーで若い女性たちに話しかけられた。
兄をみて少しばかり興奮している女性たち。
「あの、先生の作品大好きで・・応援しています」と
恥ずかしそうに握手を求められて
「ありがとう」と照れくさそうに言う兄
兄は現在作家を生業としていて
数年前に何かの賞を獲ったのだと
父が話していた。
実際日本に戻ってはじめて
兄が人気作家として、そしてその容姿から
女性読者に特に人気があることを
知った。
それどころか
私は兄のことを何も知らなかったことに
日本に来て気付いたのだった。
詮より私のほうが久しぶりの日本に緊張していて
気圧のせいか身体がだるくて辛いのは寧ろ私のほうかもしれなかった。
日本への帰国をボスに相談したところ
久しぶりの親子の再会なのだからとバカンスを前倒しにして休暇をとるようにと言ってくれた。
CMの評判も上々で社の利益に大分貢献してくれたとすこぶる機嫌が良いのだ。
私と詮の帰国の話を祖父が誰から聞いたのか、
決まるとすぐに祖父宅に泊まるようにと強く言われたが、
薪より事前に言われていた通り、彼のマンションに行くことになった。
長い空路を経て
成田に着くとあまりの人の多さに
驚いてしまう。
幼いころに日本を離れてから
普段周りから聴こえてくるアナウンスは
フランス語の世界だったのに、
いきなりここにきて
日本語の洪水のようで
いつの間に日本は私の感覚の中で
異国になっていたことにきづく。
「すごい、日本語ばっかり」
「まま」
と抱っこした詮が
きゅっとしがみついてくる。
私の不安が彼にも伝わって
しまったみたいで
はっとする。
詮、日本に着いたね。
と笑いかけ、柔らかな彼の髪を
優しく撫でた。
荷物を受け取りゲートを出ると、
「すみれ!」
と声をかけられる。
お兄ちゃん!
思わず声が上ずる。
スカイプでは兄と何度も話して顔もみてるのに、私は兄と離れてから
ほとんど会っていないのだ。恥ずかしながら、兄の顔もこんな顔だったっけ?と
思うほどだ。背も高く、しばらく見ないうちにすごくかっこよくなったと思う。
私たちを振り返ってみる人々の視線に気づいて、それは
兄を見ているのだということが分かった。
今回日本に帰国すると兄に話したところ、喜んで!
と空港まで迎えに来てくれた。
「この子が詮かい?」
と、ベビーカーに座った詮のまえに
腰を落として視線を合わせる。
はじめまして詮。
叔父さんだよ。
ようこそ、日本へ。
と笑いかけられて
詮はただびっくりした顔をして
見つめている。
さあ、車で迎えに来たんだ。
一緒に帰ろう。
そう言われるがままに
私たちは兄の車に乗って東京まで行くことになった。
するとその時、
「北屋敷先生・・・ですよね」と
ふと空港のロビーで若い女性たちに話しかけられた。
兄をみて少しばかり興奮している女性たち。
「あの、先生の作品大好きで・・応援しています」と
恥ずかしそうに握手を求められて
「ありがとう」と照れくさそうに言う兄
兄は現在作家を生業としていて
数年前に何かの賞を獲ったのだと
父が話していた。
実際日本に戻ってはじめて
兄が人気作家として、そしてその容姿から
女性読者に特に人気があることを
知った。
それどころか
私は兄のことを何も知らなかったことに
日本に来て気付いたのだった。
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コメント
Re: タイトルなし
こんばんは!そうなんです。彼は家族と離れてずっと日本で暮らしていたので
特殊な生き方をしている人なのです。
この美形・・にもすこし謎があるかもです。
特殊な生き方をしている人なのです。
この美形・・にもすこし謎があるかもです。
ををっ!
ミステリ作家なのか恋愛小説家なのかが気になるところです!(`・ω・´)キリッ
Re: ををっ!
> ミステリ作家なのか恋愛小説家なのかが気になるところです!(`・ω・´)キリッ
ををっ(笑)
K@zumiさんらしいコメント!!
ををっ(笑)
K@zumiさんらしいコメント!!
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薪さんとのツーショットが楽しみです(*´∀`)