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明日目が覚めたら 僕は

「秘密」二次創作サイトです

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いつか(6)

 08, 2018 23:45
どこから情報が入ったのか
羽田空港に着くとすでに取材陣が多く
押し寄せているとのことで、
薪たちは管理職員の案内で
関係者のみ立ち入ることができる場所から
管制室へと向かった。
―――

地上管制に「ハイジャック発生」の緊急通報が発せられてから
早々に対策本部が設置され、薪ははからずもその場所にいる。

異例中の異例であるこの事態の中で。

薪はそっと窓のそばに身体を寄せながら
どこまでも青く続く空の高さを
眩しそうに見上げる。

遠すぎる。


遠すぎて。
手の届かないことが。
もどかしく苦しかった。


―――

それは薪だけではない。
緊急の対策室として
集められた各所の専門家たち。

そして乗客の家族ら、
関係者たちはただ。ただひたすらに
機長からの連絡を待ち続ける。


ハイジャックの情報が入ったのは
離陸後15分も経っていない。

「針路変更は?」
南官房長が職員に詰め寄る。

「それが・・・」

重苦しい空気の中で。
一人が口を開く。

「もしかしたら。犯人が操縦している可能性も・・・」

その瞬間、その場にいた者たちにどよめきが起こる。

(嫌な展開だ・・)

眉をひそめ、南はふと隣の薪に目をやると
額に手を当て目を伏せている。
何も言わず。何も表さず。
だが、その左手が震えていることを。

見止めてしまった。

職員はそのままレーダーを見ながら
状況を冷静に分析する。

「先ほど機体が急旋回したのですが、どうみても急すぎる。こんなこと通常あり得ないことです。その後、南下を始めると共に急降下するといった飛行を行っているので迷走していると思われます。これはベテランの機長ならするはずがない。どうみても・・」

その言葉を聞いて
薪は血の気が一気に引く。

二人が機体の中で叫び震えていることを。
想像しただけで。心が凍ると思った。

「コックピットにはほかにだれがいる?」
誰かがそう発した、
その時だった。

フランス語で呼びかける声が
室内に響く。緊急連絡だ。

「機長が刺されて・・・。急きょ副操縦士の私が操縦を行っている」

「犯人の要求は?」

薪がフランス語で聞き返すと
しばらく無言の時間が続いたが、

「拘留中のある人物の釈放が条件だそうだ」

副操縦士の努めて冷静に発する口調が、
震えているのがわかる。

「落ち着いて。こちらは警察庁。
犯人と直接話はできるのか」
隣の南官房長が代わって応答する。
その表情はあくまで冷静で。
そして思いのほかフランス語が流暢だった。

長町が年を重ねたらこんな風になるのかもしれない。


数分後。
先ほどの副操縦士の声ではなく
くぐもった男の咳払いとともに見知らぬ言葉が室内に響く。


「聞こえるか」

一瞬。聞き慣れない言葉に周りのメンバーの表情に不安が広がった瞬間だった。

「ああ。聞こえている」
その声に反応したのは、まぎれもなく薪だった。

「お前はカザフスタン語がわかるのか。」

「ああ。誰の釈放を要求するんだ」
薪の声が室内に響き渡る。

犯人は一度咳込んだ後に
思わぬ人物の名前を発した。




・・・

「タジク・シャマール」




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