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明日目が覚めたら 僕は

「秘密」二次創作サイトです

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いつか(3)

 02, 2018 23:34
ここのところ
ずっと曇りでしたからね。

そう言って後部座席の薪に
岡部は声をかけた。


珍しい冬の晴れ間。
乾いた風は頬を冷たくひと撫でして
空へと舞い上がる。

日本の冬の色は白い。
白に淡い水色がどこまでも
柔らかな筆で描かれているような
空が美しい。

こんな日に。
機上にいたら。
なんて心地よい景色が見られるだろう。

自由に飛びまわる鳥にさえ
嫉妬しそうな気分だ。


―――
「そう言えば。」

「・・曽我の見合いの話はどうなった?」

会議の資料に目を通しながら
薪はまるで会議の資料についての確認事項のように
言い放つ。


「え?あの例の看護婦さんの?ああ。今回はいい感じだって
確か宇野あたりが言っていたような」

数えて何連敗中という口に出すのもかわいそうなほどの
曽我の見合い歴。

たまに失言もするけれど
責任感のある優秀な部下である曽我のことは
やはり離れていても気になるものだ。

「うまくいくといいな」

ことのほか優しい声色に岡部は
明らかに驚いた顔をした。

「まあ。そうですね。
しかし。この道混んでるな・・・」

さっきから少しだけイライラしているのは
少しずつしか動かないこの大通りの渋滞のせいだ。

(もしかして・・この道)

「岡部。次の信号で右折しろ。」

え、でも本庁へはこちらの道のほうが。

そういう岡部の言葉を遮って薪は続けた。

「長町病院がその先にある。
きっとあの辺は今きっと取材陣やらで
ごった返しているはずだ」

そう言われて岡部はああ。と深くうなずいた。


「そうでしたね。連日珍しいほど政界のニュースが
取り上げられてますしね。やっぱりあのルックスは
ワイドショーの恰好の・・・」


「次、右」

強めに命令されて岡部は思わず無口になった。

その時だった。
薪の上着の奥の携帯が震える。

「薪警視長。」

堅い声がまっすぐに届く。


「すまないが、今日の会議は中止だ。
急きょ対応すべき案件がある。
そのままこちらへ向かってくれ」

南官房長。
珍しい人からの電話だった。

「承知しました。どのような案件でしょうか」

一息ついてから
官房長ははっきりと答えた。

「ハイジャックだ。今朝成田を発った旅客機で、フランスのパリオルリー空港へ向かう
エールフランス××便。乗客220人と乗員12人が乗っている。今乗客名簿を集めている
ところだ。日本人も数多く乗っている。あと15分したら速報で流れる。とにかく早くこちらに来なさい」


ふと窓から見える空を眺める。
淡くて美しいその空色を。


ぼんやりと。
ただ
ぼんやりと。
薪は見つめていた。




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