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明日目が覚めたら 僕は

「秘密」二次創作サイトです

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ホワイトクリスマス

 22, 2017 00:45
今年は都心でもホワイトクリスマスになるかもしれません。


朝のニュースで赤のダッフルコートを着込んだ可愛らしい女性が
震えながらも嬉しそうに画面越しに伝えるのを
まるで他人事のように聞き流す。

師走のあわただしさの中で
相も変わらず。
捜査に追われ。

午前様ばかりの毎日では。
雪が降ろうが
雨が降ろうが。
さして問題もない。

例え大雪が降ったって。
研究室に泊まれば済むことだ。

そうつらつらと考えながら
薪は自室のクローゼットを開ける。

きれいにそろえられたスーツと
シャツの並びを見て
いつもと変わらないその整頓を
満足そうに見渡す。


スーツに着替え
ふと奥にあるコートに手を伸ばした。


たまには。
いいか。


――


え。

薪さん。



朝の出迎えに岡部は
薪のその姿をみて思わず
変な声を上げてしまった。


「なんだ」

ぼーっと見つめる岡部に
薪はなんだ、何かおかしいかと、
思わず髪に手をやる。
寝ぐせでもついていると思ったらしかった。

「いえ、あの。その・・・」

「なんだ。焦らすな」

「その・・・ダッフルコート。お似合いです」

まるで。高校生見たいです。
そう言いたかったが、その言葉は飲み込んだ。


そうか。
と満足気に薪は微笑む。


車を出してくれ。
そう言って薪はいつもと同じように
後部座席に乗り込んだ。


――



え。

薪さん。


第九に到着し、小池が変な声を出して驚く。


「なんだ。」


「いや、あの。」


「なんだ」


「あの・・そのコートお似合いです」


そうか。
薪はまた微笑んで首をかしげる。

そんなに。
似合ってるのか?

大学の時に買ってから
しばらく着ていなかったが、
たまには出して着るのもいいのかもしれない。

―――


その時だった。


「薪さん!」

トイレに行っていた青木がドアを開けた瞬間に
驚いて声を上げた。


「誰かと思いましたよ。高校生みたいで。
お可愛らしい」

わっ。
と声を思わず上げたのは
そこにいた岡部、だけではなかった。

身体がぶるっと震えたのは。
朝の冷たい空気のせいではない。

一瞬にして顔色が変わった薪に。
青木は、
しまった!
と思ったがそれはもう後の祭り。


「いや、まるで、奇跡・・です・・・。
いつまでも若々しくお美しい・・」

と今井が懸命に取り繕っても
薪の不機嫌な表情は頑なに戻らない。


「す、すみません!失言でした」


と青木は丁寧に頭を下げたが、
それすらも薪にとっては苛立つ言葉に他ならない。


―――

「あ~あ、青木のせいで今日も残業確定だよ」
と解析データをみながら愚痴をこぼすのは
曽我だ。

朝一の会議で薪は部屋を飛び出していったが、
戻ってきてからどんなことが起こるかを考えるだけで
皆ため息をつく。


そんな時だった。

「あ。雪・・・」

窓の外には。
白い粉が舞い降りる。

始めはささやかに。
次第に目に見えるほど積もっていく。


久しぶりだな。
そう言ったのは岡部で。

「今日はホワイトクリスマスらしいって
ニュースで言ってましたね」

と微笑むのは今井だ。

「今日予約したディナー、いけるかな」
と不安顔で窓の外を眺めている。


青木も今日は雪子さんとの約束がある。
なんといっても。
今日はクリスマスイブなのだ。

そう思うと心が浮き立つ。
青木は今井と並んで外の雪を心配そうに
見上げた。


(あ・・・)

ふと紺色のダッフルコートが目に付く。
会議が終わった薪が
外の中庭を歩いている。

降る雪を避けるように
フードを深くかぶって歩く薪は。

粉雪が舞う世界に舞い降りた天使のようで。
思わず食い入るように見つめていた。

紺色のコートの上に
降り立ったその雪を
そっと払う仕草に。
目を奪われる。

「あのコートで正解だったな」

隣で今井がそう呟く。

「ええ。そして。本当に美しい」

思わず青木がそう答えると
「お前、そういうこと三好先生にもいうのか?」と
今井は若干ひきぎみに問いかける。

「いやあ、三好先生にはとても・・・
薪さんを見ていると思わずそう。
言葉がこぼれます」

と真顔で言って、今井は苦笑いをした。


「まあな。その気持ちもわかる」

そう言って。
白い世界の中にたゆたう薪を眺めた。


―――

と。
数分後。


ドアがすごい勢いで開く。
白い頬を紅潮させた薪が
戻ってきたのだ。


「青木、今井。外ばかり見てないで仕事しろ」

急いでまとめないと
お前ら帰れなくなるぞ。

そう言って。
意地悪そうに。

そして。
高校生のように。










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