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明日目が覚めたら 僕は

「秘密」二次創作サイトです

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あなたに会いたくて 5

 07, 2017 23:51
あなたは。
まだ自分を許せない。

否。

許しては
許されてはいけないと思っている。


そうではありませんか。
-------

まっすぐに薪を見つめ
決して目をそらさない。

カウンセラーらしからぬその姿勢に。
薪も思わず目を離せなくなった。

ああ。
すみません。

私の話をしてほしいということでしたね。

彼はハッと気付いた顔をして
くしゃっとした顔で笑った。


さっき。
あなたは私を名前で呼びましたね。

「あなたが私の名前を呼ばれたのは初めてだ。」

いつもの薄いハーブティではなく
濃い目の深煎りのコーヒーを美味しそうに啜りながら
辻山はそう笑った。


「そういう役割の人だと思って。敢えては何も」

そう言って伏目がちにうつむいた薪をじっと見つめる。

ずっと。そうここ何年も。
この人は当たり前のように
この場所にきて。
私のカウンセリングを受けて帰っていく。

当たり前のその習慣のような日常が
これからもしかしたらなくなってしまうなんて。

そう。

堪らないと。
そう思った。

この時間が必要なのは
クライエントではなくカウンセラーの私自身なのかもしれない。


「辻山さん?」

あまりにも沈黙が続いたので
薪は首をかしげてそう呼びかける。


あなたはここで
私にあったのが初めてだと思っているかもしれないが。
そうではなかったのはご存知ですか?


思いがけない告白に。
薪は目を見開いて目の前の白衣の男を見つめた。


え?


「京都の大学であなたを見かけた」


まだあなたが10代の。
そういう時期に。

あなたは飛び級で京大に入学して。
そして驚異的な頭脳と研究の成果を残し、
あっという間に東京へと戻っていった。


「すみません。あの頃の僕はあまり
周りに気を配る余裕がなくて」


まあ、今でも変わらないが。


「私もある意味あの頃。周りを見る余裕はなかった」
そう言って辻山は自嘲気味に笑う。

私的な会話として。
まあ。
戯言としてお聞きいただければ。


恋に堕ちまして。
あの頃の私は。


医学生の私が。
よりによって。

それが人妻で。


「人は。禁忌を犯すことが
その行為を助長させる」

私は。
彼女を本気で愛していたと思っているのですが、
もしかしたら手に入らないからこそ。

夢中になったのかもしれないと
今になればそう思ったりもするのです。


でも。

今になれば。です。




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