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明日目が覚めたら 僕は

「秘密」二次創作サイトです

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ポールポジション3

 31, 2017 00:09
「ああ、分かった。すまない。」


部屋から見える高層ビル群を眺めながら
長町は携帯を静かに切った。

帰りの渋滞で自宅に戻ってきたときには
もう夕暮れの時間になっていて。
窓一面に赤紫色に染まる秋空に見とれた。





-------―

桜新町の家には帰せないと。
そう決めていた。

タワーマンションの
自室に彼女を招くのは初めてだった。


「日焼けしてない?」」
そう言ってシャワーから出てきた
すみれの頬を長町はそっとさする。

その手のひらの温度に
また胸が高鳴った。

顔を赤らめながら
「大丈夫・・」と小さい声で呟くすみれは
所在なく長町を見つめる。

帰り道のドライブでは
主導権を握られてしまったようで、
勝手が違う・・・そう思うと気持ちが急いた。


「あの・・」

「詮君なら、薪が学校に迎えに行くって」

はっ?
何言ってるの。

「え、ちょっと。あの人どれだけ忙しいか、分かってるの?」

驚きのあまり、憤りもあって強くそう返事をすると
長町は想定内という顔をして

「ああ。君よりは、わかっているつもりだ」
と事も無げにそう答える。

だったら。

「だったら。あいつがそうする意味・・・分かるよね」

君なら。

そう言って。
少しだけ濡れたすみれの長い髪に
顔をうずめた。


「お願いだから。もう。」

オレノモノニナッテ

その声は懇願以外何物でもなかった。


――――


「こんなに強引な人だった?」

少し眉を寄せて睨み付けても。
少しも動じないのは。

長年の経験かもしれない。

「割とね」

そう言って笑いながら。
すみれの手を取る。


「でも。だいぶ待った」

そう言って。
天井を見上げて
笑った。

すみれをソファに腰かけさせて
長町はせっかくだからと
とっておきのシャンパンを開けて
彼女に注がれたグラスを渡す。

まあ・・・そう言われればそうだけど・・・。

グラスに注がれたルイ・ロデレールの
シャンパンの味にうっとりした。


「多少強引だったのは申し訳ない。」

意外と素直に謝った後。
長町は真剣な面持ちですみれを見つめた。



ずっと。
待ってた。

君が薪のことより
俺のことを好きになってくれたらと。
そう思って。




「好きよ。ずっと。」
当たり前じゃない。
少し強い口調でそう返す彼女に。


「そうかな。」と苦笑しながら
首をかしげる。


「好きでいてくれているのは
分かっているよ。

でも。

じゃあ。なんでこういう時。
こんなに避けようとするの」

おずおずと。
ソファに座りながらも、彼女が
少しずつ離れようとするのを見逃さなかった。

「それは・・・・」

よどむ言葉を
シャンパンで流して。

すみれは
意を決して口を開く。



あの人とのあの時間は。
かけがえのない大切な時間で。

あなたの胸に飛び込んだら。
それが消えてしまいそうな気がして。


それはできないと思ってしまったの。

俯くこともせず。
ただまっすぐに長町を見つめながら
すみれはそう言った。


―――

しばらくの沈黙と。
そしらぬままに浮かび続ける泡の数々。

彼女は・・・・自分がありすぎるんだ。
と言った薪の言葉が頭をかすめた。

(残酷だな。)

でも。
そんなの。
慣れっこなんだ。
割と。


「忘れるかどうか。試してごらん」


きっと。
忘れられないから。

そう言って。
笑って。



それでも俺は構わないから。


「部屋はいくつもあるんだ。
 勇気がでたら。あの寝室においで」


彼女は。
必ず今夜。

ドアを開ける。


それは。

確信であり
祈りでもある。





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