明日目が覚めたら 僕は

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sorry16

 08, 2017 23:36
「わ。綺麗な色ですね。」

青木はすみれの胸元に煌く
深紅のルビーをうっとりとした目で見ながら
そう呟く。。


その紅い鉱石は
一瞬にして人の心をとらえる。




ピジョンブラッド

という「鳩の血の色」という
名前を持つルビー。



「すみれって誕生石ルビーじゃないよね」
傍らで詮の勉強を見ていた薪がふと疑問に思い
そう問いかける。


「ええ」

キッチンでコーヒーを淹れながら
すみれは そうね、と首をかしげる。


「始めて宝石に心を奪われたのがルビーで。
パリのショーウィンドウに飾られていたのを見て
しばらく眺めていたわ。

翌日も翌週も翌月もずっと。
今思えば。この色。ピジョンブラッドのルビーだったのね」


「ピジョンブラッド?」

青木が不思議そうな顔でそう呟く。

ええ。
鳩の血の色。
紫外線に対して発光する性質が強い石で
最高級のルビーと言われているわ。

やっと手に入って。
今回、うちで商品化されたのよ。

嬉しそうに笑うすみれを
隣で微笑んで見つめるのは長町だ。



「いや、この間プレゼントに何がいいかって
聞いたら即答されてさ」

と言いながら
でも、本当に血のように赤い石だよな。
とすみれの胸元をジッと見つめる。


「嫌らしい目で見るな」
と声を上げたのは
薪と詮だ。


いや、そんなつもりないって。
と慌てて否定するも

いや、そういうつもりか。
と冷静に肯定する。



「ルビーってね。
コランダムっていう鉱石なの。
サファイアも同じ鉱石よ。
違うのはその中に入っている不純物であるクロムの量。
本当に微量の差で薄ければピンクサファイアに、
多ければルビーになるの。
その中でも濃度が高いのがこのビジョンブラッド。

とても希少価値のある石よ。
それだけに人の心を揺さぶると思わない?」



「ルビーの宝石言葉は「情熱」だったよね」
薪がそう言うと、そうね。とすみれは嬉しそうに微笑む。

外見の冷静さや、
普段の言葉や態度からは
なかなか想像がつかないが。

彼女と出逢い。
彼女を知るにつれて。

彼女の仕事や
詮という大切なものに
向かう情熱を。

何度も。
驚くほどに。
見せつけられてきた。

この僕が。
何度言っても。
どう説得しても。
彼女は自分が納得しないと
首を縦に振らなかった。


そういうところは。
堅い鉱石のようだし。
熱い思いはルビーに通じるとも思う。



「で。皆さん勢ぞろいでお集まりのようですけど。
何事?」

すみれが久しぶりの休日の午後に
勢ぞろいしたメンバーをみまわして
そう言い放つ。


「ああ。なんでだ、薪」

すみれの隣で長町も一緒にそう問いかける。


「僕が呼んだんだ」
そう声を上げたのは詮だった。

詮?

二人が声をそろえる。


「パパ。」

ふいに薪を見上げて詮は
泣きそうな顔で言う。


「いくらなんでもひどすぎるよ」

口火を切って出てきた言葉に
皆驚く。


「この人。ママがそのままでいいって
言ったら本当にそのまま何にもしてないんだよ。

仕事辞めた翌日にこの家に転がり込んでくるわ、
ママの送り迎えをしてご飯作って
掃除して、ママが僕とこの人を実質養ってるんだよ」


ずっとこの1か月ほど我慢していた
からか、詮の口からは呆れるほど
流暢に愚痴というか文句というかまあ、そういう
言葉がいくらでも流れて止まらないほどだ。


「ああ。そのうち仕事探すよ」

別に何も考えていないってわけじゃないんだが。
まったく顔色も変えず長町はそう言って笑う。


「そうよ。突然辞めたんだし。次のことゆっくり
探せばいいわ。別にこのまま家事をしてくれてても
私は助かるわ」

彼の作る和食って美味しいのよ。
そう言ってすみれは嬉しそうに笑う。


「もう、パパっ!!」

まったく気にも留めていない母と
その恋人を見て詮はさらに怒りがヒートアップしそうになる。


「そういうとこ、詮は僕に似てるな」

そう言って笑いながら薪は言った。

「でも。ママは幸せなんだろ」
そっと詮の頭を撫でながら薪は優しく呟く。


確かに。
この1か月。

ママはずっと嬉しそうで。
笑ってばかりだ。


そう。



そっぽを向いていた顔を少しずつママに向ける。

心配そうに僕を見つめるママ。
そんなママを心配そうに見つめている彼。


僕は観念した。


「ママが良くても。僕は。」



・・・・えらそうにしてるあなたが
意外とかっこいいって思うから。


「そのうち仕事見つけてよね」

小さい声でそう言うと。
ママのタルトタタンを口いっぱいにほおばった。


(fin)







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