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明日目が覚めたら 僕は

「秘密」二次創作サイトです

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sorry15

 01, 2017 23:30
「入れば」

今、夜中の0時だけど。
ちなみにママ明日の5時に起きる予定だけど。

そう言って玄関のドアを開けたのは
最近俺のことを敵を見る目でじっと見つめる詮だ。

―――


「ああ、すまない」

そう言って長町は顔色も変えずに
真っ白な部屋へ向かっていく。


リビングに彼女はいなくて、
きっと明日の準備で自室にいるのだと思った。


慣れた様子で廊下を歩く。



「ママ、地下室で探し物してる」
後ろから聞こえてきたのは
さっきまで俺を睨み付けていた詮の声だった。


「ああ。すまない」

そう言って長町は地下室に向おうとすると

「ねえ」とまた呼び止められた。

振り返るタイミングで詮の手が長町の服の裾を
ぎゅっと握っていることに気付く。


「さっきから謝ってばっかだけど。
僕はあなたに弁明してもらう立場にあるよね」

そういう言葉尻はまるで薪そのものだと感心する。



そうだな。

そう言って長町は優しく微笑む。



――

「ビールもらうな」
と慣れた様子で冷蔵庫から取り出す。

詮は温めたミルクをぎゅっと両手で抱えながらソファに座った。


だいたいことの顛末は
青木さんから聞いてる。

だから浮気をしたしていない、ということを
聞きたいんじゃない。
と詮は冷静にそう切り出した。


「あの白戸伊織という人が
どうしてママのところにきたのかという理由と
あなたのママに対しての気持ちをちゃんとききたい」


いつもは長町さんと呼ぶのに。
他人行儀に話すのは堪えるなと長町は感じる。



「そうだな。お前には。
ちゃんと話すよ」

そう言って長町はいつになく真剣な顔で
詮を見つめた。


―――



「伊織がすみれちゃんのところに行ったのは。
彼女が俺にとって大切な人だということを
感じたからだろう。」


伊織が知っている俺は。
誰か一人を深く想うような人間でなかったから。


それを知って冷静ではいられなかったと
伊織は言っていた。



「じゃあ。彼はあなたのことを
真剣に思っていたということ?」

もちろんそれもあるだろう。
だが。
それだけではない。



守りたいものがあるということは。
それが弱みとなることもあるってことだ。




俺の弱みは。


すみれちゃんなんだ。

だから。
その対象として伊織達は
見ていたということだ。



「ママは危ない目にあいそうになったんだね」

その言葉を聞いて長町はハッとした。
唇をきゅっと噛んだまま。
その瞳には怒りと。
悲しみと。苦しみの涙が溢れていた。


「ママを泣かせない。ママを幸せにする」
そう言ったのに。


そう言って身体を震わせる詮に
動揺した。


「詮・・すまない。いや、すまなかった」
思わず深く首を垂れ謝罪する姿を
詮は不思議な気持ちで見つめていた。





「それで。仕事辞めたの?」

部屋の外から
聴こえてきたのはすみれの声だった。



「ママ」

驚いた表情で詮は思わず小さく叫ぶ。



「知ってたのか」

そう言うと彼女は長い髪を
掻き上げながら俯いて
ちょっとだけ笑った。



―――

長町は苦しそうな表情で
言葉を絞り出す。

「すみれちゃんすまない。」
俯きながら苦しそうな声で。


「俺は。知っての通り。
仕事も辞めて、もうエリートじゃない」

真剣な顔でそう言う長町をみて
すみれは微笑んだ。

「そう」

それが?と少しだけ首を傾げて
もう一度微笑む。

「今の俺は君を幸せにできるような地位も肩書も、
そういうものは何もなくなってしまった」

そう俯く長町に
少しだけムッとした顔をした。

「あなたが仕事を辞めようと。
変えようと。それは私の幸せには関係のないことよ」

ああ。
そうか。と力なく答える長町に
すみれはスッと腕を伸ばした。


ばかっ。

急にそう言って。
すみれは長町の頬をぎゅっと両手でつかんで
呟いた。

変な顔になった長町を見て
困ったような顔をして微笑む。

「無事に帰ってきてくれてよかった」

その手を離すと
すみれは、そっと。当たり前のように。
彼のその胸に顔をうずめた。



「すみれちゃん・・・」

彼女の背中に手を置こうとしながら
一瞬の躊躇が腕の動きを止めた。

それを横で見ていた詮は、静かに頭を横に振って
腕を置けと横で無言で圧力をかけた。


そんな詮の態度に背中を押されて
もう一度彼女の背中に手をそっと置いた。



「・・・ここに戻ってきてくれたことが
十分幸せだわ」

そう言って胸の中で呟く彼女を。
ぎゅっと。
ぎゅっと。
力いっぱい抱き締めた。


「ごめん。すみれちゃん。本当にごめん」


そう言って。








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