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明日目が覚めたら 僕は

「秘密」二次創作サイトです

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sorry5

 30, 2017 22:25
はっとして詮を見つめた瞬間。
詮はまるで何も見なかったとでも言いたそうな
顔で踵をかえすと、また店内を物色し始めた。


「こういうのならパパお仕事で使うかな」

そう言って手に持ったのはきれいな藍色の万年筆だった。

「いいですね。使ってくれますよ。きっと。」
そう優しく青木がつぶやくと
詮はそうかな。と嬉しそうにぎゅっと万年筆が入った
ケースの端をそっと握った。

何事もなかったように
二人は店を出てしばらく歩行者天国をつらつらと歩く。

「ずっと歩きっぱなしだし少し休みませんか」
と青木が大事そうに紙袋を抱えた詮に申し出ると
しばらく考えていたが

「ごめん。僕ちょっと家に用事を思い出したから、
青木さん、帰ってて」

そう言って詮はちょっと早歩きで別の道を歩き出した。
慌ててその後を追いかけてふと考える。


(もしかしたら)


そう思って青木は先回りしてとある場所へと向かう。

herbe d’amour エルブダムール

すみれのジュエリーショップだ。
路地裏の少し入った分かりにくい場所にあるのだが
女性向けの雑誌にも頻繁に取り上げられていて
こぎれいな女性たちがこの店に吸い込まれるように入っていくのを
先ほどから何度も見ている。

ふとその手前の細い道に人影を見つけ青木はそっと
気付かれないように入り込んだ。


はっとした顔をして青木を見上げるのは
先ほど別れたばかりの詮だった。


(やっぱり)


真っ赤な顔をして。
涙でいっぱいの顔をして。


(ああ。我慢していたんだ)
とその顔を見て青木は納得した。


「なんだよ」

手袋で顔を雑に拭きながら
不機嫌そうに睨み付ける。


そっと。
その時青木の右手が
詮の頭を撫でる。


「よく我慢しましたね」

優しい声だった。
えぐられた傷にそっと柔らかい布を
掛けてもらったような。
そんな声と。
さっきまで自分に言い聞かせていた
我慢しなくちゃ。人前で泣いちゃだめだ。
という言葉をそのまま救ってもらったような
気がして詮は涙が止まらなくなった。


そしてそっと青木の胸に顔をうずめる。

その背中をそっと優しく抱きしめながら
ぽんぽんとそっと叩く。


何も言わず。
ただ。
その場にいる詮をただ
ただ優しく抱きしめる。


どれくらい時間が経っただろう。
詮が青木を見上げて言った。


「悔しかった。あんなにママを幸せするって
誓ったのに。それなのに。ママの気持ちも知らないで。」

でも。
ママが言ったんだ。

二人のことは二人で解決するから。
って。


だから。
でも。


そう言ってまた声を殺して泣いた。



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