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明日目が覚めたら 僕は

「秘密」二次創作サイトです

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予感13

 22, 2017 00:38
相手の血を流したら勝ち。

エペは決闘そのものだから。
そう聞いたとき。

薪は心が震えた。
なんてドラマティックな競技なんだろうと。

Rassemblez! Saluez!

練習試合が終わり、
薪はメタルジャケットを脱ぎ、マスクをはずす。
他校の生徒たちがその瞬間。

ざわめくのがわかる。

青木は彼らがため息とともに
感嘆の声を上げるのをこれまでも
何度も聞いた。

この瞬間に恋に落ちるのだ。

マスクを取って首を振ると
柔らかな髪がしなやかに舞い上がる。

少し頬を染めると
その白い肌がなおさらに際立って。

なんてきれいなんだろう。

そう。
青木は何度そう思っただろう。

そして
なんで攻撃的な
試合をするんだろう。
それも生き生きと。


なんで薪さんエペなんですか。
と聞いたことがある。

「ブレードも大きいし、フルーレのほうが軽いのに・・・」と
言いかけて暗にお前は小さいから、と指摘されたと
思ったのだろう。
じっと睨まれて
その後静かにかみしめるように彼は言った。


「本物の決闘にできるだけ近いものが
したかったんだ」


昔見た映画のロミオとジュリエットみたいだと
思う。
美しく若い。
ああ、あれはディカプリオだった。

ーーー 

マスクを抱えて控室に向かう途中のことだった。
夏の日差しに全身ユニフォームの僕らは一秒でも早く
脱ぎたいなと。そう言いながら青木と他校の構内を足早に歩いていた。

「セミの気持ちがわかる」
そう呟く薪の隣を。
青木は優しく微笑みながら、その背の高さで
日除けになるようにと気を使いながら歩く。


「あれ?克洋くん?」
とふいにすれ違った女性に声をかけられ
振り向くと

「わっ、ごめんなさい。似てたから。間違っちゃったわ」
とじっと見つめながら突然声をかけたことを詫びる。
背の高い美人だ。
思わずこちらもじっと見つめ返し

「いいえ」と穏やかに微笑み返すと
ふと「もしかして、・・学園の方かしら」と丁寧に
でも物おじする風でもなく話しかけてくる。

「ええ。あのあなたは?」
そう尋ねる青木の横で。

「女子学園の三好さんですね。鈴木から話はよく聞いてますよ」
と薪が笑顔で彼女を見つめた。

その瞬間。
薪をじっと見つめ彼女はほんの少し顔を赤らめて
嬉しそうに頷く。

「ええ。あなたもしかして薪君?私も彼からよく話を聞いてるわ」
それはどうも。

「あのね、私、克洋君と・・」
その瞬間。
薪はこの上ない極上の笑顔で彼女に微笑みかけた。
きっとこの笑顔で見つめられたら。
人は一瞬言葉を失う。
それほどの極上の微笑みで。

彼女の言葉を遮ったのだ。

もう言うな。
何も言うな。

そう思うのに。
相反して吐き出されるのは

「お似合いですよ。」
という言葉。

本当は反吐が出そうだ。と
思ったくせに。


ずっと一緒にいたらきっとわかる。
この人の人との線引きの距離感を。

「暑くて。すぐにでもこのユニフォームを脱ぎたいので。
失礼します。」

と慇懃に会釈すると薪は「青木いこう」と小さく囁いて
少し足早に歩きだした。

まっすぐ。
まっすぐ見て。

決して振り返らず。


「そういう時の決闘なんじゃないんですか」

と言いそうになって。
青木は慌ててその後を追う。








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