FC2ブログ

明日目が覚めたら 僕は

「秘密」二次創作サイトです

Take a look at this

スポンサーサイト

 --, -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  •   --, -- --:--

予感7

 18, 2017 16:12

寮のコモンルームのソファに腰かけて
薪は一人専門書を読みふけっていた。

6限が終わり、みなクラブチームの練習に
各々いそしんでいる時間帯だ。

「薪、フェンシングチームの練習は?」
ちょうど着替えに戻ってきた上級生に問われて、
「数理工学コンテストが迫っているのでしばらくはいけないんです」
とすまなそうに答える。
ああ。
そうだったな。と
その上級生は気がついて笑う。

薪なら大丈夫だろ。
そう言いながら、長町は?と
問われると、薪は首を傾げた。

いつもの通り馬術部にいませんか?
と逆にたずねる。


最近ちょっと遊び過ぎだって
注意しておいてくれ。

そう返されて苦笑した薪は
階段から降りてきた人物に
目がいく。

「ちょっと失礼」

そう言って席を外し、
ホールに降りてきた青木に声をかけた。

「もう。慣れたか」

思わぬ言葉に
青木は驚きそして一息ついて嬉しそうな笑顔を見せた。

「はい。あの薪さん」

ん。

とちょっと首をかしげるところが
可愛らしいと思った。

「ここ座っていいですか」
と薪の隣に腰かけて青木は一冊の本を差し出した。

「あの実は・・。どうしてもわからないところがあって」
そう言っておずおずと差し出すラテン語の教科書を
薪はぱらぱらとめくる。

「僕も去年取っていた授業だ」

「どこ?」
そう言って薪はテーブルにおいてある鉛筆を手に取った。


「あの、ここの箇所が」

どれ。そう言って青木の至近距離で
薪はその教科書を食い入るように見つめる。

ああ。ここは僕も躓いたとこだ。
これは、、、
そう言ってすらすらと教科書に書き込んでいく。


きれいな指が滑らかにその紙の上を滑っていく。
嬉しそうに楽しそうにラテン語のその言葉を
繰り返し話すその声の心地よさと
その発音の正確さに青木は思わず
薪を覗き込むほどに見つめた。


「わ、なんだ」
その近い距離に思わず薪は
のけぞると、青木も慌ててのけぞって
そんなことがなぜかとても可笑しくて
二人はソファに座りながら笑い転げた。


―――

「ま、き」
と玄関からコモンルームにいる薪を見つけ
鈴木が声を上げようとしたが、
その二人を見止めて思わず声のトーンが落ちた。


ラグビー部に所属している鈴木は泥だらけになって
ユニフォームのまま戻ってきたところだった。


「お前面白いな」
そう言って笑っている薪の表情を見て。
なぜだろう。

言いしれぬ気持ちに支配されている自分がいる。

少し前から。
引っかかっていたんだ。

薪があいつを目で追うようになっているところを。
無意識かもしれない。

いや

無意識だからこそ。

こわいんだ。


スポンサーサイト

COMMENT - 0

WHAT'S NEW?

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。