明日目が覚めたら 僕は

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初雪

 04, 2017 00:57
都会の空に舞い落ちる
粉雪の儚さに。

思わず手を伸ばした。



―――

コートの肩にかかる粉雪を
払おうとしたタイミングで
後ろから傘が差し出され
思わず振り向く。


「だいぶ積もるかもしれませんね」

当然のように彼は
僕に傘を差しだし

当然のように
僕はその傘の中に入る。

男物の大きい紺色の傘だ。

いつも。
僕の立場は昔から
こういうポジションになる。

澤村さんも
鈴木も。
岡部も。

そして。
今当たり前のように
隣で傘をさすこの男も。

いつも傘を差し出されるのは僕のほうで。
それは少し悔しいことでもある。

「雪の日の朝は静かだな」


そう静かにつぶやいて
この人は空を見上げる。


年に一度降るか降らないかの
そんな雪の日の朝に。


飽きずに空を見上げて
雪の降る様を見つめるこの人の容姿の
清らかさに。そして儚さに。
なぜか胸がきゅっと締めつけられる思いがした。

粉雪の淡く降り落ちるその様が
少し感傷的にさせるのかもしれない。

この人は誰よりも 
正義に忠実で。
そしてまっすぐな人なのに。

この人の容姿の儚さといったら。
本当に消え入りそうな不安定感に
思わず手を伸ばす。

そっと彼の頬に手を当てると
素直にこちらを向いて
見つめられて
ドキッとした。


いつもなら。
「何するんだ!」と
キッと睨まれて終わるパターンなのに。


子どものような。
無垢な表情を浮かべて
まっすぐ見つめるこの人は。

責務とか。
信念とか。
そういうものを取り払ったら

こういう柔らかさが
残るのではないかと。

白い肌に手を当てたまま
そう思う。

「いつまでそうしている気だ」

といつの間にか不機嫌になっていた
彼の頬にあてた手を慌てて離す。

すると薪は、
青木の手に握られていた
傘の柄を掴み取り、
その傘をそっと少しだけ下げる。

お互いの顔が傘の陰に隠れた
その瞬間に

彼は。
俺の手をそっと引き寄せ
顔を近づけて
一瞬の口づけを交わす。


えっ・・・・・//


目を見開いて
口を開けて
驚いている間抜けな姿に。

思わず笑みがこぼれた。



「たまにはいいだろ」


めったにない日なんだから。

そう言って。
彼は後部座席に乗り込んだ。


「濡れるぞ」

と中から声が聞こえるまで。
しばし立ち尽くしている俺を。

じっと見つめるその視線は。
儚い雪など
一瞬で溶かしてしまいそうな
ほどの熱さを

いつまでも。
いつまでも放っていた。






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