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明日目が覚めたら 僕は

「秘密」二次創作サイトです

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止まり木

 07, 2017 00:10
ああ。
ここは気持ちがいい。


休日の午前中。
緩やかな日差しが窓いっぱいに差し込む。


桜新町の駅から
ほど近い場所にある
閑静な住宅街にある
古い小さな邸宅。
見慣れたソファに横になりながら。
白い風景を眺める。

どうしたの。
急にやってくるなんて。


そう言って笑う女性は。
僕がパリで出会い愛した女性で。

今も変わらず
大切な人だ。


「別にかまわまいだろ」

と身体を起こして彼女を見つめる。
グレーのロングワンピースに。
ふかふかしたガウンを重ねて。
気だるそうに微笑む姿は
純粋に男として。
可愛らしいと思う。



すみれ。手を。


ソファの後ろに立った彼女の
その細い腕を。
思わず手に取って
手の甲に優しくキスをする。


王子様みたい・・・。
そう思いながらも
一瞬自分の鼓動に驚いて。
その手を引っ込めようとし、
薪はその動きを察して
逆に強く腕を引くと
そのまますみれは
彼の腕の中におさまった。

「きゃっ」

身体のバランスを崩しながら
抱き締められて。

「もう!なにするの」

と彼を見つめると
ぎゅっとまた強く抱きしめられた。


長いまつげ。
その凛凛しく
澄んだ瞳に見つめられながら

この人と過ごしたパリでの日々が
一瞬浮かぶ。

「すみれ。まだ僕のこと、好き?」


思いも寄らぬ言葉に
鼓動が飛び跳ねる。


「だって。
すごい心臓の鼓動・・・」

抱き締められながら。
そう囁かれて。


思わずすみれは
バッと身体を起こした。



「薪さんにこんなことをされたら
どんな人だってドキドキするわ!」


すこし怒った顔をして
すみれは答える。


「そうかな」

自信なさそうに。
薪は上の空でそう呟いた。


そして言った。

「ごめん。少しの間だけ。
こうしていてくれないか」


小さな身体をそっと
引き寄せて。

薪はため息をついた。



――――


帰り際。

薪は独り言のようにつぶやく。

「あいつは、あんなことがなければ。
雪子さんと結婚していたはずなんだ。」

少し首をかしげながら
すみれは薪を見上げる。

「だから。あいつはちゃんと家庭をもって、
舞ちゃんと家族として暮らすべきなんだ」

そう思うと・・・
自信がなくなる。


消え入りそうな声でそういうと
薪は静かにドアを閉めた。


そんな姿を。
すみれは。
しばらくの間立ちすくみながら
見つめていた。










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