明日目が覚めたら 僕は

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十六夜

 28, 2016 00:30
あなたは。
誰かに嫉妬をしたことなど
ないのでしょう。


深夜の首都高を走りぬけながら
青木はミラー越しに映る
男の表情をちらっと見ながらそう呟いた。




「嫉妬?」


仕事終わりの
疲れた体を固めの座席に
預けながら薪は
静かに、はっきりとそう受け答えた。



どうだろうな。

そう言って。
車窓から見える東京タワーを見つめている。
赤々とその骨組みが浮き出たその存在を
僕は気に入っている。


ぼんやりと高くそびえたつスカイツリーも
それはそれで情緒的と言えばそう言えるかもしれないが、

ビルの間から突然露わになる
その鉄塔の存在に昔から
僕は魅せられているのだ。



「お前は嫉妬しているのか」

そう問いかけながらも
誰に対してそう思っているかなど
僕でなくても明らかだった。


―――


「今日はっきり自分の気持ちを
認識したんです。タジクに対しての感情を」


少しだけメガネの奥の瞼が落ちる。



「あれは。あの感情は嫉妬だと」



それを聞いた薪はふっと笑った。

「羨望じゃないのか」

お前にもっていないものを
あいつが持っているという。
そういう感情じゃないのか。

それだったら。
気にすることはない。
あいつにはもっていないものを
お前は・・・

と言いかけた薪の言葉は
青木の手荒な運転で強制的に
途切れてしまった。

目の前の車を無理やりに
追い越したのだ。

「なっ、青木、お前何やってるんだ。
仮にも警察官だろ!」

と声を荒げる薪に対して
動じもせず青木は


「すみません。ちょっと降りてもいいですか」

と上司の許可など聞かず
首都高を降りた。


―――


「その辺のパーキングでいいから止めろ」 

明らかに不機嫌になった薪は
パーキングに止まった瞬間ドアを思い切り開けたか
と思うと、助手席に乗り込んだ。

乗り込んだ瞬間、
彼の前髪が青木の
頬に触れるほど
近づき、耳元で囁く。

「で、お前の話を聞かせてみろ」

その香りと
彼の存在に酔いそうだと思った。


羨望というのは
俺がタジクに対して思う感情で。


そこに薪さんが入ると
それは嫉妬になるんです。


青木はハンドルをぎゅっと握りそう答えた。


「僕が入ると?」

ええ。
あなたは。
タジクに。
惹かれているのではないですか。


そんなあなたを見ていると
俺は嫉妬で狂いそうになる。




「馬鹿な!」

あまりにも馬鹿らしいその
青木の言葉に薪は声を荒げた。


「あなたは。タジクに協力を求めるほど、
彼の力を買っている。そして実際に
今回の事件についても絶対的な
信頼を寄せつつある。俺はそんな二人の
間に入れないと思うたびに苦しくなるんです」


そんな女々しい悩みを
切々と訴える暇があれば・・
と青木を叱咤しようと見上げた時だった。

青木の涙に気付いた
薪はその言葉を飲み込んだ。


「タジクに・・協力依頼をしたのは。
 彼が僕と似ているからだ」


犯罪者と似ているなんて。
可笑しいだろ。


助手席を座席をぐっと後ろに下げて
薪は寝転がってそう言った。


「僕は。僕には。
犯罪者の血が流れている」


それは。
紛れもない事実だ。

正義のもとに。
真実を明らかに
するという使命で
僕はここにいるのに。

僕の身体に流れるこの血の
半分には。

まぎれもなく。


「お前には僕は。むしろ
羨望の気持ちを持ち続けてきたよ」


身体を横たえ薪はだるそうにそう呟く。

まっすぐで。
しなやかで。
僕にはないもの。
僕はむしろお前に憧れてやまないんだ

「知っているか青木。嫉妬するってことは
相手より自分を下に見ているってことだ」

そういうの。
やめろ。

ふんっ。
とため息交じりに笑う薪を見つめる。

お前は・・・。
唯一無二の
僕の大切な。


「大切な・・なんですか」



知らん。

いつの間にか座席は元に戻っていて。
シートベルトも装着し、
薪は青木を急かす。

「明日また早いんだ。
タジクの接見。お前も一緒に来い」


車、出してくれ。

そう頬杖をつきながら
薪はまた不機嫌そうな表情で言った。


その表情の裏にある
あなたの優しさを。


知ってしまったから。


「ええ。お迎えに伺います」

夜空には。
不知夜月。

ためらうにも
ほどがある。





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