柳は緑 花は紅(4)

 30, 2016 22:22
まるで。
コーヒーをこぼした床を
拭くかのような表情だった。


冷静で
静かに床の血をふき取っている。



ああ。こういう表情を僕は
かつて何度も見たことがある。

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柳は緑 花は紅(3)

 29, 2016 11:21
一雅と出逢ったのは。
大学3年のころだ。

「ねえ、この講義の場所ってどこ?」

廊下でおずおずと僕に話しかけてきたのを
今でも覚えている。

柳は緑 花は紅 (2)

 26, 2016 07:33
「薪さん、よろしいですか」
と遠慮がちにドアの向こうから声が聞こえてくる。

思っていた通りの時間で。


柳は緑 花は紅(1)

 18, 2016 23:34
さすがに連日仮眠室が続くと
身体にこたえる。

ソファに横たわりながら薪は
口には出さずにそう心の中だけで吐き出す。


青空

 08, 2016 23:07
5月。
ベッドルームの重いカーテンを
意を決して思い切り開けると、
まぶしい陽が差し込む。


思わず目を細めて
空を見上げると
淡いブルーが一面に広がっていた。

葉桜のころ(4)

 06, 2016 22:32
翌日の茅ケ崎の海は
呆れるほど快晴だった。

「あの子意外とセンスあるね。」

そう言ったのは高校のころからの
なじみの店のオーナーだ。


葉桜のころ(3)

 04, 2016 00:09
外は雨が降っていて。
図書館の窓から見える風景は果てしなく暗い。

窓の外のあちら側の校舎の外壁は雨に打たれて
濃灰色がまだらになっていた。

 なあ、薪。
 

少し離れた場所から鈴木がそう声をかけた。

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